RAID(Redundant Array of Independent Disks)とは、複数のディスクを組み合わせることで信頼性と性能を向上させる技術です。RAIDの各レベルには独自のメリットとデメリットがあり、用途に応じて選択することが重要です。本記事では、RAIDの基本概念と各レベルの特徴や用途について詳しく解説します。
RAIDの基本概念
RAIDは複数のディスクを一つの論理的なディスクとして扱う技術です。これにより、以下のような利点があります:
- データの冗長性:ディスク障害時のデータ保護
- 性能向上:読み取り/書き込み速度の改善
- 容量の拡張:複数ディスクをまとめて大容量ストレージとして利用
RAIDには主に以下の幾つかのレベルが存在し、それぞれに異なる特徴があります。
RAIDのレベルとその特徴
RAIDレベル |
速度 |
信頼性 |
10TBx8台で組んだ場合の容量 |
特徴 |
RAID 0: ストライピング |
◎ |
× |
8/8 80TB |
読み書き速度が高速 ディスク1つが故障するとデータが完全に失われる 全容量が使用出来るので無駄がない |
RAID 1: ミラーリング |
△ |
◎ |
4/8 40TB |
1つのディスクが故障してもデータは生き残る ミラーリングする為、全容量の半分しか使用出来ない。 |
RAID 5: ストライピング + パリティ |
○ |
○ |
7/8 70TB |
読み書き速度が向上 1つのディスクが故障してもデータ復元可能 パリティ分にディスク1台分の容量を使う |
RAID 6: ストライピング + ダブルパリティ |
○ |
◎ |
6/8 60TB |
読み書き速度が向上 2つのディスクが故障してもデータ復元可能 パリティ分にディスク2台分の容量を使う |
RAID 10: ミラーリング + ストライピング |
○ |
◎ |
4/8 40TB |
RAID 1とRAID 0を組み合わせたもの データのミラーリングとストライピングを同時に行う ミラーリングする為、全容量の半分しか使用出来ない。 |
RAID 0: ストライピング
特徴
- データを複数のディスクに分散して書き込む
- 読み書き速度が高速
- 冗長性はなし(ディスク1つが故障するとデータが完全に失われる)
- 総容量の100%を使用する事が出来る
用途
高性能システム:動画編集やゲームなど、速さが求められる用途
メリット
- 大幅な性能向上で読み書きの速度が高速
- 容量の無駄がないので、容量あたりのコストを下げる事が出来る。
デメリット
冗長性がないため、ディスク障害時のリスクが高い
ディスク1台壊れるとすべてのデータが完全に失われる
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RAID 1: ミラーリング
特徴
- 同じデータを2つ以上のディスクに書き込む
- 読み書き速度は若干向上
- ディスクの冗長性あり(1つのディスクが故障してもデータは生き残る)
- 総容量の50%しか使用する事が出来ない
用途
データ保護が必要なシステム:企業のサーバや重要なデータを扱うコンピュータ、データのバックアップ
メリット
デメリット
有効容量が半分になる(ディスクの数が2倍必要)
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RAID 5: ストライピング + パリティ
特徴
- データとパリティ情報を複数のディスクに分散して保存
- 読み書き速度が向上
- 1つのディスクが故障してもデータ復元可能
- 総容量からディスク1台分の容量が減る
用途
中規模システム:データの信頼性と性能のバランスが必要な環境(ファイルサーバなど)
メリット
- 高いデータ保護と性能のバランス
- ディスク1つの故障に耐えられる
デメリット
パリティ計算が必要なため書き込み速度が低下する可能性がある
冗長性を確保するため、最低3つのディスクが必要
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RAID 6: ストライピング + ダブルパリティ
特徴
- RAID 5に似ているが、2つのパリティを用いることでさらに高い冗長性を確保
- 2つのディスクまでの故障に対応可能
- 総容量からディスク2台分の容量が減る
用途
大規模システム:高いデータ保護が必要な環境(データセンターなど)
メリット
- 非常に高いデータ保護
- 2つのディスクが同時に故障してもデータが失われない
デメリット
RAID 10: ミラーリング + ストライピング
特徴
- RAID 1とRAID 0を組み合わせたもの
- データのミラーリングとストライピングを同時に行う
- 高い読み書き速度とデータ保護が両立
- 総容量の50%しか使用する事が出来ない
用途
高性能かつ高信頼性が必要なシステム:商業サーバ、データベースシステムなど
メリット
デメリット
RAID 50/60: RAID 5/6をベースとしたストライピング
特徴
- RAID 5/6のアレイをストライピングで結合したもの
- 読み書き性能の向上、そして高い冗長性が特徴
- RAID50では2台以上分、RAID60では4台以上分のディスク容量が減る
用途
大規模システム:非常に高い性能と冗長性が必要な状況
メリット
性能と冗長性のバランスが良好
デメリット
RAID選定のポイント
RAID技術の選定には、以下の点を考慮する必要があります:
- 必要な性能: 読み書き速度がどれだけ重要か。
- データ保護: ディスク障害時のデータへの影響。
- 容量効率: 実用可能なディスク容量。
- コスト: ディスクの数とコスト要件。
まとめ
RAIDの各レベルにはそれぞれ異なる利点と欠点があります。用途や具体的な要件に応じて最適なRAIDを選択することが重要です。RAID 0は速度重視の用途に、RAID 1はデータ保護が優先される環境に、RAID 5やRAID 6はバランスが要求される中規模から大規模システムに向いています。RAID 10は高性能と高信頼性が必要なシステムに最適で、RAID 50/60は非常に高い性能と冗長性が求められる大規模環境に適しています。